2024年、コロナ禍が過ぎ去った現在でも宣伝に苦労している美容院・エステティックサロンは多いのではないでしょうか。
東京商工リサーチによると、2023年度のエステティックサロンの倒産は2022年の1.7倍以上、コロナで優遇されていた資金返済などが通常に戻ったものの客足は減少したまま戻らず、倒産率の高止まりになっていると予測されています。
しかし、東京商工リサーチの調査結果は、「倒産できた数」であることにご留意ください。参入障壁が低いため、実際には人知れず消えていくサロンがほとんどだからです。特に人口集中地域などは家賃を抑えるためにレンタルルームや業務委託状態にて開業される方も多く、単純に事業を諦める方も多いです。
現在なんとか生き残っている大手美容院・サロンでも従業員の独立が盛んであり、かつ理美容学校の卒業者の減少や少子化の煽りを受けて苦しんでいます。
独立理由の一つにはお給料の低迷や働き方の変化があります。
これからの時代、淘汰される側になるか、チャレンジャーとなるか、なかなかに難しい美容院の経営と宣伝方法について、アナログエンジンの経験からお話をいたしますね。
小さな美容院の育て方
近年独立が多い美容師・理容師の業界
美容師の収入のピークは大体40歳前後と言われています。
下積みが長い割に年収も上がりにくいというのが美容師の特徴です。
現実的にアナログエンジンに相談に来られる理美容関係のお客様の独立の理由は収入が大きかったりします。
その他、女性の方では、子どもを育てながら自宅で開業、時間を家庭と仕事に振り分けてワークライフバランスを取っておられる方もいますが、こういう方は年収を大きく上げる必要もないので、今回は宣伝方法については割愛しますが、この時間配分も独立理由の一つ。
組織の規模が大きくなればなるほど、経営に関する雑務を任されたり、社内教育を任されたり。朝から晩まで疲労困憊。そりゃ独立した方がマシかもしれないですね。
ちなみに人間関係が煩わしくて独立した人は、あまり美容室の経営に向いてません。結局は人間関係の仕事なので社内の人間関係コントロールできてない人はお客様ともうまくいかないようです。
自分の担当顧客が多いから、のみで独立した方は要注意
私たちが相談に乗らせていただいた方の売り上げでは、個人で自分のお店を持たれる美容師さんは一ヶ月の売り上げが70〜130万ぐらいが多いです。理容師さんはそこから2割くらい低いイメージです。
もちろん都会に行くとまた違うのでしょうけど、少なくとも滋賀県や京阪沿線ではそうです。
で、相談に伺わせていただくわけですから、やはり悩みを抱えておられます。
それはやはり顧客の減少です。当然連動して売り上げも下がります。
でも数年美容院をやっていると、お客様の転職や転勤、結婚や離婚、様々な事情でお客様が来られなくこともあります。それに古びて行く店舗のテコ入れをしないままだと単純に顧客離れが起きますよね。
「自分の抱えているお客様がたくさんいるから」と思っていたら、それが油断に繋がるかもしれませんよ。
美容・理容という業種は「時間と共に顧客が減る業種」だということを忘れては行けません。
正しい美容院の宣伝方法
美容・理容のセールスは「売り感」を隠せ!
売らずして売るということです。美容師と顧客の関係は、ビジネスではなく、個人の友人に近い関係として成り立っています。あなたの友人が「ちょっといい保険があって・・・」なんて言ってきたら身構えますよね。自分が選びたいもの以外買いたくないのが特に女性の心理。必死感が見える美容師にロクなことはありません。自然な話題の中で「あ、それやって欲しい!」と思えるような誘導を行うために、以下に紹介するようなツールの活用を行いましょう。
店舗には毎月変化を
話題作りもそうですが、店舗内でのセールスはこの変化内で行うべきです。
名刺へのこだわりを忘れずに
美容室の店舗案内で常に手元に置いていただけるものは、名刺とショップカード、ご来店のポイントカードだけです。最近は顧客管理アプリの利用が顕著ですが、小さな美容院はポイントカードを利用しましょう。アプリは便利なように見えますが、用がなければ開かれません。比較して、財布に入るポイントカードは財布の中身を確認するたびに目に触れる機会が多くなります。3ヶ月再訪率を上げるためにも直接目に触れるツールを選びましょう。
クーポンサイトの依存に注意
理髪店・美容院・エステサロンはホットペッパーなるクーポン雑誌がありまして、滋賀県のみならず大阪やその他地域でもそれに頼りっきりのお店が多いです。全然悪いと思いません。単なる営業代行費を払って集客しているわけですし、現在のところ、ホットペッパーなどから顧客を獲得できているお客様も多いですので。
だけれども、売り上げの天井にぶち当たってる方が多いのも事実。
ホットペッパーから呼ぶ以上のお客様が来ないから、より魅力のあるクーポンを発行して(ということは損をして)集客に努め、結果泥沼にはまる方も多いのです。
それはクーポン誌を利用して来るお客様は「お得に店を利用したい」と考えている事を忘れ、来店したお客様の単価を上げようと営業する間違った行動があるからです。
自分のお店の魅力づくりをクーポンに頼っていてはいつまでもブランドになれないですよ!
SNSやホームページ、インターネットツールの使い方
どこぞのコンサルがInstagramを勧めているのを耳にします。間違ってはいませんが、InstagramやFacebookなどのSNSはトレンドの配信を、ホームページは履歴・実績の配信をするようにしましょう。じゃないとSNSがプランや新サービスの温床になり、売り感が強くなり、来訪率を落とします。
また、ホームページはいらない、と勘違いしている経営者が多いですが、スタッフの詳細、サービスの詳細はかなりの頻度で見られています。サービスに納得しないと単価も上がりませんし、口頭でのセールスでも売り感が強く出ます。必死こいて単価上げようとしているのが見え見えになりますので、美容院のサービス告知に最適なホームページは安くてもいいので必ず作成しましょう。また、ホームページは自分で更新できるツールを必ず入れてください更新頻度が多くなるので、コストがかさまないようにするためです。
3km以上離れた地域はフリーペーパーで補完
店内POPは必須
お客様との会話に自然に盛り込まれるよう、話題作りとして、POPを活用しましょう。物販は個人店ではブランド訴求も弱く、利益率が高いわけではありません。スポットではなく、継続して販売できる商品を選択することで、薄い利益率でも経営を長く支援してくれる部門に育てましょう。
顧客と一緒に成長するスタイルへ
・客単価の向上
・ギフトモールの利用
・プレゼント
ギフト戦略の徹底
なんでここまでネガティブなことばっかり書くかというと、弊社の経験上、経営が危険水域に入っても調子に乗ってる美容師さんが多いからです。「武士は食わねど高楊枝」っていつの時代やねん!と心の中では思っていますが、あまり言いません。
お店を経営して時間が経てば元いた固定のお客様も当然減ります。
新しい顧客が年間で1.5〜2割くらいで流入するような仕掛けを考えて行きましょう。