目次
まだ存在する高額リース・ローン契約
最近リース・ローン契約についての問い合わせを多くいただきます。
ホームページの費用を分割払いで払えば初期費用はゼロ、という謳い文句で契約された方が多いですね。もちろんリースやローンが悪いわけではありません。弊社も節税上リース契約しているものだってあります。問題は「金額と品質が見合わないホームページのリース・ローン契約」ですね。
相談で電話をかけてくる方は毎月3万円〜7万円くらいの金額を3年から5年にかけてお支払いされてる方が多いです。ただ2024年に入ってからは総額150万円ほどの金額も増えてきました。150万円だとすれば月額1.7万ほどの支払い、維持費を合わせても2.5万ほどなので、諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。それでもまぁまぁの負担ですからね。
高額リース・ローン契約には多くの落とし穴があります。後々誰かからアドバイスを受けて解約をしたいと思っても、後の祭りであることが多いです。
以下では弊社に来た問い合わせの事例から、ホームページの高額リース契約の被害、また解約ができるのかどうかについてお伝えしたいと思います。
法律上解約はできるか
まずはこの話からいきましょう。できるものとできない場合があります。
それは契約内容次第という玉虫色の回答になるのですが、そもそも困っているあなたの契約はリースですか?ローンですか?という話です。
リース契約の場合
リースでのホームページ契約はかなりの確率で解約できます。リース契約はそもそも信販会社や銀行のリース部門と契約を行うものです。
ホームページは無形物なので基本的にリース禁止なのですが、更新システムを「ソフトウェアリース」という形で提供したり、パソコンを契約時に購入してもらい、あくまでホームページを更新できるパソコンを提供したという有形物のリースを結ばせる脱法的な手法もありました。
しかしながら、2015年頃から大体がチクれば終了できる感じでもあることが広まり、最近はあまり見ないです。これは消費者を守ろうという動きではなく、金融・証券の法律が厳しくなり、業者が銀行系をはじめとするリース会社を使いにくくなったからですね。ターゲットにされている個人事業主さんのリースも通りにくいですし、今は手法としてはローン契約を利用したものの方が大半を占めています。
どっちかというと美容で独立した方に、中途半端な美容商材(海外製脱毛機器など)+ホームページみたいな形はまだ見ますがこの場合は主役がホームページではないので割愛します。
ちなみに着地点は銀行系なら契約終了の買取(リースアップ)、信販は維持費用が含まれてることもあり解約になりドメインは残りません。信販会社
ローン契約の場合
ローン契約もリースと同じく、消費者の信用を元に信販会社や銀行と契約を行うものです。ただし、ローン会社は単なる建て替え払いの役割であり、ホームページ制作会社に代わりに支払った費用を代わりに分割で相談者から回収している第三者の立場でしかありません。
契約者が信販会社の審査を通ればホームページ制作会社は一括でその制作費用が手に入ることとなり、非常にキャッシュフロー上は楽でしょうね。ただ契約者が分割払いをしているのはあくまで信販会社であり、ローン契約者が納得の上で支払い契約を結んだこととなっていますですので、解約はとても困難です。
「市場価格と比較して高額すぎたから解約を!」という言い訳は通じません。法律上、商品を購入しようとするときに、どれだけの価値あるか納得して購入したのは契約者だからです。営業マンのトークに納得してご契約されたことになりますので、単なる決済代行社である信販会社との契約を無効にすることは99パーセント不可能です。
でも返金はできた
しかしながら弊社が相談に乗った消費者の方で「減額」「一部返金」もしくは「完全解約」をさせることができた実例もたくさんあります。
リースの場合の事例は法律上リースできない商品が契約内容に含まれていた場合。(後述する無形物に対するリースなど。)
この場合は信販会社自身に違法性に気づいていただき、信販会社と制作会社との間での協議の結果、契約を見直し、3分の1が返金されました。
ローンの場合は契約した物品または成果物の不備を指摘して、制作会社から直接の返金を受けた例。同じ制作会社の契約者を数件探し出し、契約内容の不備を突き、示談となりました。事実上約半分の返金となりました。
あなたが何に納得できないかはっきりと
「総額350万もするホームページを買わされた!どう思いますか?」と聞かれることもあります。でも僕はそれが高いと思いません。弊社でも最大総額2000万円くらいのホームページの受注はあるからです。もちろんその価値はあるものを作っています。
でも相談に来る方が納得できないのは、総額が高いからではなく、今の自分自身の状況にしてはオーバースペックであったか、それに見合う価値あるサービスを受けられないと分かったからのどちらかですよね。
そもそも法律では「高い・安い」を武器に戦えば負けます。それは契約時の本人の価値観が重要視されるからです。無理やり押さえつけられて契約したならまだしも「騙された」「法外な契約を結ばされた」わけじゃないです。契約書を見た上で「それでいいと思ったから契約した」だけど「判断が間違いだと分かって後悔した」が本当のところですよね。
まずはこれをしっかり心に留め置いておかないと、交渉はできません。感情ではなく、事実をまとめて交渉する以外に解約や減額はできないです。
そんなわけで、大体の交渉は下記のようになります。
そもそも契約自体が無理やり結ばされた
この場合、消費者センターに行こうとする人もいますが無駄です。悩んだ末にこのページを見つけて読んでいるあなたは経営者。一般消費者ではないあなたがホームページ制作会社の営業マンと交渉の末結んだ契約には相談も乗ってくれません。
ここで整理すべきは「(考える時間などの)自由を与えられなかった」「恐怖を感じた」「おかしな金額交渉があった」などです。
着信履歴やメール(あまりメールでやりとりする事例はありませんが)などがあったかどうかです。
また今まで聞かなかったキャンペーン金額の出現や今日1,000円だけでも払ってもらったら値引き対象になるとかですね。「今日1,000円だけ」攻撃はいまだによく聞きます。
成果物が要件を満たさない
成果物(納品されたホームページ)が自分の思った通りではないことは交渉材料になります。ただし明らかな瑕疵が必要です。
「デザインが気に入らない」なんかは難しいです。修正の余地はあったし、デザイングレードの契約なんてそもそも書面化してないはずですし、無形物の価値は人それぞれですし。「情報が間違っていた」もホームページの場合はエンドユーザーへの周知より前に直せるものなので、減額にはならないですよね。
ここでの判断材料は『「できると言ってたことが出来てない」が複数回あり、信頼関係を損ねた』という解約する気持ちに至る事実があったかどうかですね。
利用していない未来のメンテナンス料
ローン契約の場合、7年分割で初期制作費用の他に維持費用もまとめて含まれている場合は、解約時からの残りの期間の利用料は減額対象にできることが多いです。大体の契約書に書いてある「解約の場合は残存期間のメンテナンス費用の80%を一括で支払え」を読んでビビる気持ちもありますが、なんならこの部分が一番交渉可能です。
解約したい場合どのような行動に出ればいいのか
ただ「高い」ではなく違法性や錯誤を伴う契約があった場合は行動しましょう。
成果物に明らかな瑕疵があれば仲介に入っている場合は、信販・クレジット会社に解約を申し立てます。さっき信販・クレジット会社は立て替え払いしてるだけだから難しいとは言いました。
しかしながら信販会社にはローンに対して調査・管理の義務があります。
だからここで先ほど書いていた「何に納得できないか」を明らかにすることが必要になります。弊社では相談者に書面に改め直し、信販・クレジット会社に送付してもらってます。下記は弊社がよく利用するホームページローン契約解約書面のフォーマットです。
明らかである瑕疵が真実かどうかを信販会社が調査に乗り出すわけですが、経験上、あからさまに信販・クレジット会社と組んでいない限り、信販会社は当事者同士での交渉を求めます。
消費者契約法や特商法、景品表示法、割賦販売法なんかは事業を主とした契約を結んだ個人(個人事業主)を保護できないという話もありますが、証明さえできれば信販会社も動いてくれます。
時として信販会社はローン契約を止めホームページ制作会社に債権が移動することもあります。(悪い意味で有名な信販会社はまぁまぁすぐ引いてくれる)
どれくらいの金額の契約者が多い?
金額が高いからといって必ずしも違法ではありませんが相談に来られる方で多いのは、毎月3万円を5年契約でリースして総額は220万前後の方ですかね。アナログエンジンではスマートフォンも対応できるホームページ(レスポンシブ対応)、またCMS(wordpressなどのホームページ更新システム)など導入しても平均的な費用は50万〜80万くらいです。(もちろん内容にも寄りますが)
そしてどちらも更新費用は別途予算です。
そうなんですよね。ホームページの相場が分からない部分に付け込んで営業しにくるんですね。
必ず相見積もりは取りましょう!
リースのよくある契約内容
リース契約は無形物に対してはできません。
ホームページはソースコードの集合体ですから、違法というか無理なのですね。
でもシステムや納品のDVD、更新用のパソコンは違います。
便宜上、ホームページを0円、パソコンが100万、みたいな契約内容になっている場合もあります。
こういう場合、ホームページの品質に意義を申し立てても、「一緒に契約したパソコンは使ってるよね?DVDは手元にあるよね?」という扱いで、この点もリース契約の解除を難しくさせる部分ですね。
どんな業種の方が多い?
税理士・弁護士・司法書士・行政書士・個人経営の塾・個人医院・歯医者・エステサロンなどなど
案外お堅い職業が多いですよね。ちなみに2019年にアナログエンジンに相談があった職業でで一番増えているのは整体師さんと大工さんです。
これらの職業の方は、営業マンのセールストークのみで契約を進める傾向があり、実際のところ商品(ホームページやシステム)についての理解をせず丸投げでお願いしている人が多いですね。
それなりに稼ぐ職業の方は、よく調べずに「大体それくらいが相場だと思った」なんて言います。
かつ、スタートアップの時期や開業間もない方がターゲットになってるみたいなので、焦りが契約内容のチェックを甘くさせてるんでしょうか?
制作会社が倒産するリスクも
大阪でご依頼いただいた司法書士様。
5年のリース契約を結んでいましたが4年目でホームページ制作業者が倒産。その後ホームページのリニューアルを希望されるも「サーバー管理者とドメイン管理者」がリースを提案した制作会社であったため、転出の連絡が出来ず、結局1からドメインを取り直しての制作となりました。
ドメインには価値があるんです。
1年50万の投資の価値があるなんて言われた時代もありましたね。
ホームページはコンテンツの更新と充実を積み重ね、公開している内容が検索エンジンに評価され、その積み重ねが検索エンジン内の順位や露出率となって、新たな集客に繋がります。
ドメインが無くなる、または無くなるまでに何の対処もできないことって、結局お金を積み重ねて得た評価をゼロに戻すってことですよね。
ホームページを作り直すと言うことは、もう一度ゼロから検索エンジン対策をし直すことになります。ホームページを失った以上に、お客様からインターネットで検索されないという機会損失の被害もよく考えてください。
リースは悪くないんですリースは
問題は、納品された成果物の品質や市場価値とのバランスです。
個人開業の整体師がいるとして、たとえば月々5万の金額って大きいですよね。その方はもしかして、ホームページで新たな集客を!って考えたのかもしれません。
でもそれなら家賃に5万上乗せしていい立地の物件に乗り換えたほうがマシですよね。
もちろんホームページの集客も大事です。でもお金の優先順位が違いすぎる。
それをお客様のためにってアドバイスしないリースを勧めてくるホームページ制作業者も、キャッシュフロー考えずに契約した契約者も、どっちも悪い。
まとめ
アナログエンジンはリース契約をすすめてくるホームページ制作会社のやり方に疑問を持っています。WEBシステムだと必要な場合もありますけどね。
ホームページは時代とともに公開している内容をかえるべきものです。
パソコンだってスマートフォンだって1年2年経てば時代遅れなこのご時世。
リース契約をしてしまった会社さんの事業内容だって変わっていきますよね。
いわば古いだけのホームページは年々情報の価値が下がっていくということです。(古い信頼のあるページが評価が高くなることもあるんですがこの場合はホームページの仕様・構造そのものが古いこと)そういった事情をリース契約を勧めているホームページ制作業者は説明していますか?ってことですよね。
でも最後、契約書にハンコを押したのは、それを不満に思っている契約者の意識の足りなさ。
弊社で契約しなくても全然構いませんので、契約内容が正しいかどうか心配な方は相談してください。担当は神野です。
追記
お客さんにお願いされて、高額リース契約を勧めてくる業者さんとお話したら、その契約内容にムカついて、その怒りのテンションでこの記事を書きました。
内容に不備あったらごめんなさい。あとで訂正します。
1999年創業、創業20数年のホームページ制作&Webシステム制作会社。滋賀県のみならず、北は秋田、南は鹿児島まで広い地域でお客様がいます。デザインからシステム、コンサルティングや補助金のご相談までお任せください。認定DXアドバイザー在籍。